4月に選出されるイギリスの労働党党首選挙に、私はがっかりしています。
それは、どの候補者(現在4人)も核抑止力論に立っていることです。
その中には同国が保有する核ミサイル「トライデント」の更新に賛成した候補者も。
右派の影響力が根強い党内事情を感じさせられます。
「誇り高き社会主義者」を自称するレベッカ・ロングベイリー候補は、「トライデント」の更新には反対しましたが、「核抑止力を持つという観点から、PM(Prime Ministerの略。首相のこと)は必要に応じてそれを使用する意思があるというメッセージを送る必要があります。だからといって、私は核兵器に賛成するわけではありません。私はそうではなく、すべての国が相互に武装を解除するように働きかける役割があると思います。私は彼らに同意するかどうかにかかわらず、ドナルド・トランプ大統領を含むリーダーに会います。会話を断ち切るべきではありません。また、平和と安定をもたらす関係を育むことでもあります」
この発言には支持者からも落胆する声が上がっているようです。
保守党の政治家からは、「(核兵器に同意しないが、必要に応じて使用すると語っていることについて)これはとれも支離滅裂(incoherent)だ」との批判も。
12月の総選挙での惨敗の責任を取って党首を辞任するジェレミー・コービン氏は、市民から「核攻撃が切迫していたらどう対応するか」との問いかけに、「どんな脅威にもまず交渉と対話で対処していく」と答えていました(日刊「しんぶん赤旗」2017年6月11日付け)。
さらに、イギリス単独でも核兵器を廃絶するべきだとも主張してきました。
党首が代わり、同党の核政策は元に戻ってしまうのか…。
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2017年に成立した核兵器禁止条約は、年々批准国や署名国が増え、発効の日が近づいています。
日本共産党第28回党大会で、不破哲三社会科学研究所所長は代議員として発言し、「発達した資本主義の国ぐにの政府の多くは、世界平和をめざす人類的な意思に背を向けている」と指摘しました。
唯一の被爆国である日本政府の態度は恥ずべきものです。
近年のイギリス労働党は保守党政権と対峙して、大企業や富裕層への課税強化、社会保障・公共サービスの充実、地球規模の気候変動の抑制など、国民の生活実態に寄り添った政策を打ち出して、期待を集めてきました。
核兵器廃絶の運動もしっかりとある国なので、平和と社会進歩の方向への積極的な連帯に背を向けるならば、たいへん遺憾です。