EU(ヨーロッパ連合)からの離脱(Brexit)をめぐって国民世論をほぼ2分したイギリス。
12月実施の総選挙は、「EU離脱」を前面に掲げた保守党が大勝しました。
そして、昨日の欧州議会でイギリスのEU離脱協定案が可決しました。
賛成621、反対49、棄権13でした。
これで、本日31日に離脱することになりました。
そもそもイギリスで、「離脱するべき」が支持を集めた背景には何があったのか。
「しんぶん赤旗」が紹介しています。
炭坑や重工業が衰退した地域での緊縮政策への反発などがあるということ。
さらに保守党政権は公共部門の民営化や規制緩和を徹底して行い、福祉や介護、警察、消防、学校教育などの予算を削減してきました。
これが、貧富の格差拡大、ホームレスの増加にも拍車をかけました。
イギリスは離脱しても、このままEUに留まっても、大多数の国民の切実な要求にこたえることこそが切に求められているのです。
EUの出発点は第2次大戦後、西欧諸国が非戦・共栄を目指したことですが、域内の市場を統合して、通貨、関税、エネルギー、農林漁業など共通の経済政策を敷き、人、モノ、資本・サービスの自由移動を進めてきました。
加盟28か国で構成される、このヨーロッパの巨大市場は大企業による経営など労働生産性の高い部門には有利でも、中小企業や小規模農、そして多くの勤労市民にとって決して良いとは言えません。
EUは日本に比べれば、“より良く”ても、決して域内の人民にとって、暮らし良い社会になっているとは言えない。
「しんぶん赤旗」は、欧州統一左翼・北欧緑左翼会派のシルデワン共同議員団長が「英国の離脱はEUへの警鐘だ」と述べ、EUが「緊急政策に固執し、企業の利益を市民の利益より優先する」政策を転換しない限り、「英国に続く国が出る」と警告していることを紹介しています(1月31日付)。
私は、先日のブログでEUには懐疑的な考え方を持っていると書きました。
だからと言って、EUの瓦解を望むわけではありません。
私が学生の頃、ソ連・東欧の政権の崩壊で、いわゆる冷戦時代が終焉し、“社会主義崩壊、資本主義万歳論”なるものが吹き荒れていました。
そんな状況下で、EC(当時)の統合は、巨大なヨーロッパが誕生すると評されたものでした。
その後は1985年のグリーンランドの離脱を除き、EUへ加盟する国々が続々と増え続けてきました。
ヨーロッパの発達した資本主義諸国等が、日本とは異なる社会発展の経路をどのようにたどるのか、今後とも注目していきたいと思います。